富山大学の杉浦幸之助教授らのグループは、山形県での先行研究をもとに、富山県での屋根雪関連事故と気象要因との関係を明らかにした。これにより「日最高気温」と「前日までの過去7日間降雪量」の気象情報をもとにした屋根雪関連事故の注意基準を作成した。
雪氷災害は全国で毎年発生し、屋根雪関連事故が多くを占める。富山県でも近年、屋根雪関連事故が増加している。屋根雪のみを対象とした研究では、屋根の材質から雪の滑りやすさ等を研究するものが多く、気象要因をもとに屋根雪関連の事故を研究した例は、山形の屋根雪事故の研究以外ほとんどなかった。
そこで研究グループは、富山県を対象に、気象要因から屋根雪の危険性にアプローチし、危険性の予測に着目。まず富山県全体について、日最高気温と7日間降雪量を用いて事故件数との関係を解析した。事故件数と日最高気温の関係では、事故件数が多いのは日最高気温が数℃の場合だった。また、事故件数と7日間降雪量では、事故件数が多いのは7日間降雪量が多い場合だった。
続いて、ある気象条件のときにどのくらい事故が発生しているか、という発生危険度を求め、日最高気温と過去7日間降雪量を用いた注意基準を作成した。富山県は、注意基準の日最高気温が高いと対応する7日間降雪量も多くなっている。これは富山県での屋根雪関連事故の大半が屋根からの転落事故だったため、雪下ろしの必要性という人為的要素が強かったことが要因の1つとしている。
このように屋根雪関連事故に人為的要因が関連する富山県では、人の意識によって事故が防げる可能性があり、注意喚起をしていくことが重要としている。