2018年度以降も募集を継続する全国の法科大学院39校のうち、5校の入学者が10人を下回り、双方向性や多方向性を確保した授業の展開が困難になっていることが、文部科学省が中央教育審議会法科大学院等特別委員会に提出した調査結果で分かった。

 調査は定員充足率など客観的な指標に問題があると判定された駒澤大学、近畿大学など13校の法科大学院を対象に2017年11月、書面形式で実施。うち、前年度に指摘した課題に改善が見られない専修大学、日本大学、福岡大学など7校に対し、2017年12月にヒアリング調査、特に大きな問題があるとされた南山大学で2018年1月、実地調査をした。

 それによると、既に学生募集の停止を表明している大学を除き、2017年度の入学者が愛知大学、南山大学、近畿大学、西南学院大学、福岡大学の5校で10人未満となった。このうち、福岡大学は5年連続、南山大学は4年連続、愛知大学と近畿大学は2年連続ひと桁の学生数で、双方向性を確保した授業が困難になるなど小規模化の弊害が明らかになった。
終了後1年目の司法試験合格者がなかったり、極めて少数にとどまったりしているところでは、教員の質の向上を図る取り組みが形がい化しているケースも見られた。

 法科大学院は多様な経歴を持つ裁判官、検察官、弁護士の育成を目指して2004年度からスタートしたが、法曹需要が伸びずに就職先のない弁護士が社会問題化し、入学者が激減している。

 2017年には立教大学、青山学院大学が次年度からの募集停止を明らかにするなど有名私大の撤退も相次いだ。法科大学院の数はピーク時に74校あったが、2018年度に学生募集するところは39校とほぼ半減している。

参考:【文部科学省】法科大学院等特別委員会(第85回)配付資料

大学ジャーナルオンライン編集部

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