高知県四万十市は下田地区で進めてきた京都看護大学四万十看護学部(仮称)の誘致断念を正式に発表した。運営法人の京都育英館が文部科学省へ提出した学部開設申請が長期的かつ安定的に学生を確保する見通しが立たないとされたためで、模擬病院として使用する実習棟が既に完成する中、開学4カ月前の慌ただしい決断となった。
四万十市によると、京都看護大学四万十看護学部は定員80人で、2023年4月に開学を予定していた。四万十市が2018年から人口減少と高齢化の進行で苦境に立たされた地域活性化のため、大学誘致に取り組み、系列法人が四万十市有岡で看護専門学校の四万十看護学院を運営する京都育英館から四万十看護学院を4年制大学に改組する提案を受けた。
これを受け、四万十市は2020年に市役所内に大学誘致推進室を設け、約15億円を投じて下田中学校の旧校舎と旧中医学研究所を大学の校舎へ改築する工事に着手していた。旧中医学研究所の実習棟は既に完成している。
京都育英館は文科省へ新学部設置を申請していたが、長期的かつ安定的に学生を確保する見通しが立たないとされ、10月に申請を取り下げた。
四万十市は高知県南西部に位置する人口約3万2,000人。旧中村市と旧西土佐村が合併して2005年に発足した。市内には観光名所の四万十川があるものの、急激な人口減少と高齢化の進行にさらされ、沈滞ムードが漂っている。