大阪大学感染症総合教育研究拠点の村上道夫教授、大阪大学大学院人間科学研究科の三浦麻子教授、山縣芽生博士後期課程学生、慶應義塾大学文学部の平石界教授、広島修道大学健康科学部の中西大輔教授らの研究グループは、非常時に政府の行動制限に賛成する人ほど新型コロナウイルス感染を自業自得と考える傾向があることを見つけた。
大阪大学によると、研究グループは日本で新型コロナ感染を自業自得と考える人の割合が他国より高いことを調査で示してきたが、自業自得と考える人の特徴を解明できていなかった。そこで、2020年に全国の一般市民1,207人を対象に実施した調査データを分析した。
その結果、自業自得と思うことと最も強く関連するのが、非常時の政府の行動制限に賛成することであることが分かり、他者に対して強い規制を求める傾向と自業自得と思う感情に関連があることが示された。
平均的な日本人が新型コロナに感染する可能性が低く、新型コロナ感染がありふれた出来事でないと考える人や若者、高齢者に新型コロナ感染を自業自得とする傾向があったが、その関連は弱かった。回答者の居住地域や居住地域の人口密度、学歴、職業は関連していなかった。
新型コロナ感染症の流行下では、差別や偏見という社会的・心理的な問題が生じやすい。研究グループはこの研究結果がコロナ禍で差別や偏見がどのように発生していくのかを知る手掛かりになるとみている。