日本電気(NEC)と学校法人慶應義塾はオープンイノベーションによる脱炭素社会の構築に向け「潜在カーボンクレジット」の社会実装に取り組むことを決めた。潜在カーボンクレジットは防災や減災による将来の二酸化炭素排出削減量を算出して可視化し、金融商品化する仕組みで、防災や減災への投資促進が期待できる。
NECによると、潜在カーボンクレジットはNECのリアルタイム津波浸水・被害推定システムやインフラ監視技術などと、慶應義塾が持つ学際的な知見を組み合わせ、将来の防災、減災による二酸化炭素排出削減量を可視化し、金融商品化する。そのため企業や大学、政府、自治体などのパートナーとともに2023年度のコンソーシアムの設立を目指し、早期に実証活動が実施可能な体制を構築する。
自然災害による二酸化炭素排出量を抑制することに対するインセンティブの仕組みはまだ開発されていない。NECはこの潜在カーボンクレジットが社会実装されれば、ESG投資(※1)の促進が期待できるとみている。
現代は地球温暖化の進行で水害や森林火災などの激甚災害が増えている。火災発生時だけでなく、水害後の復興でインフラや建物再建を進めればその分、大量の二酸化炭素が排出されている。世界の年間二酸化炭素排出量の約10%が自然災害由来と考えられている。
※1 ESG投資 環境保護や社会課題の解決、不正を起こさない企業統治の仕組みに重きを置く企業を評価して投資することで、欧州を中心に急拡大している。
参考:【日本電気】NECと慶應義塾、脱炭素社会の実現に向けて防災・減災による将来のCO2抑制量を金融商品化する新たなアプローチ「潜在カーボンクレジット」を共創