近畿大学医学部附属病院小児科は、胎児エコーの遠隔診断で、先天性心臓病を出生前に2症連続して遠隔診断で発見し、発症前のリスクが低い段階での根治手術に成功した。
先天性心臓病には出生後に重症化するものがあり、新生児死亡の20%を占める疾患である。重症先天性心疾患は、出生前診断により致命的な病状が回避できることが明らかになっているものの、全ての産科医が先天性心臓病の出生前診断を行うことが難しいのが現状である。
近畿大学の小児科では、平成28年から胎児心エコー診断装置を活用し、近隣の産科医院とネット回線を通して胎児心臓病の早期発見のための遠隔診断を行ってきた。これは妊婦がかかりつけの産院から移動することなく専門医に相談できるシステムで、今回、近隣の提携病院より、妊娠28週目と30週目の胎児2名の心臓診断の依頼を受け、胎児が重複大動脈弓であることを発見した。その後、妊婦は同大産婦人科で出産し、慎重な経過観察の後、生後3週間で根治手術に成功。両児とも元気に退院した。母親は、妊娠中の早期発見により出産前から心構えができたことや、NICUで専門の先生に診てもらえる環境で出産を迎えられたことなどについての感謝の意を述べている。