順天堂大学医学部の清水俊明教授、野田愛准教授は、国立国際医療研究センター、英ユニバーシティカレッジロンドンの研究者と世界保健機関(WHO)のデータからアフリカ、アメリカ、アジア70カ国の思春期世代の孤独感について分析したところ、いじめ対策が孤独防止に有効であることが分かった。

 調査はWHOが公開している13~17歳24万8,017人のデータを分析し、思春期世代の孤独感の頻度とその関連要因を検討した。それによると、過去1年間に孤独を感じたことが「しばしばある」「常にある」と答えたケースを孤独と定義したところ、対象者の11.7%が孤独を感じていた。地域別では、アフリカで13.1%、東地中海で14.7%と高くなっている。

 さらに、男性より女性、いじめられた経験を持つ生徒、親友がいない生徒に孤独感が高かった。いじめと孤独感の関連はエジプトとバヌアツを除くすべての国で認められている。この結果から、研究グループはいじめ対策が孤独防止に有効とみている。

 思春期世代の孤独感は飲酒や喫煙、薬物乱用を招きかねないほか、自殺との関連も報告されている。これまでの研究は欧米など高所得国がほとんどで、中・低所得国での知見が十分でなかった。

論文情報:【Journal of Adolescent Health】Adolescent Loneliness in 70 Countries across Africa, America and Asia: A Comparison of Prevalence and Correlates

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