理化学研究所生命機能科学研究センター、バイオリソース研究センター、神戸大学大学院医学研究科の共同研究チームは、気管など管状の臓器が正しい形へと発生する仕組みをマウスで明らかにした。
多細胞生物の器官は、細胞が作る筒の内部に空間が備わった管腔構造をしている。例えば、血管は血液の輸送路、消化器は食べ物の処理ライン、気管支は呼吸の吸排気装置としてそれぞれ働いている。これらの“管”の長さ、太さ、配置は、精密に制御されているが、哺乳動物の管腔形成に関するこれまでの研究は、毛細血管、唾液腺、乳腺などの細い管腔が中心であり、臓器のような大型の管が作られるメカニズムは全く分かっていなかった。
そこで、本共同研究チームは、発生過程のマウスを用いて、気管の長さと太さを決める仕組みを調べた。その結果、気管はまず、長さ方向に伸長し、続いて径が拡大することを明らかにした。また、遺伝子機能解析から、Wnt5a-Ror2シグナルにより、気管平滑筋のもとになる細胞が円周方向に整列して連結され、気管上皮の長軸方向の伸長を促していること、また、Sox9遺伝子が気管軟骨組織の分化・成長を促して径の調節をしていることが分かった。
平滑筋や軟骨は間充織に由来する組織であり、間充織細胞の極性、分化が管構造の形成に重要な役割を担うことが明らかになった。本研究成果は、再生臓器の成形技術への応用や、先天性気管狭窄症などの病態の理解にもつながると期待できる。