名古屋大学大学院 法学研究科の法実務技能教育教材研究開発プロジェクト(PSIMコンソーシアム)が本格的な刑事訴訟の映像教材「刑事訴訟(公判編)」を製作し、公開を始めた。2022年から公開している「刑事訴訟(捜査編)」の続編で、視聴者が裁判員を疑似体験でき、裁判員裁判への参加を促せる内容に仕上げている。
名古屋大学によると、公判編は最高裁判所から資料提供を受け、名古屋大学大学院 法学研究科の宮木康博教授ら専門家が監修して製作された。不倫関係の中で発生した殺人事件を題材に、裁判員が裁判官といっしょに事実認定や量刑判断をする手続きがよく分かるようになっている。シナリオは大学教員や弁護士が執筆し、白須慶子さんらプロの俳優が演じた。人気俳優の榎木孝明さんがナレーターを務めている。
日本の裁判員制度は特定の刑事裁判で満18歳以上の国民から無作為に選ばれた裁判員が審理に参加する制度で、2009年から導入された。裁判に一般国民の視点を導入し、法の支配を定着させることを目指しているが、日本社会に根付いたかどうかについてはさまざまな議論が出ている。
捜査編は大学などの授業で利用されている。PSIMコンソーシアムは公判編を幅広く活用してもらい、裁判員制度と刑事手続きのあり方を考える輪を広げようと考えている。
参考:【名古屋大学】続編が完成!名古屋大学教授らが本格的映像教材「刑事訴訟(公判編)」を制作 ~地域社会と刑事裁判をめぐる問題を考え、裁判員裁判への参加意識の醸成を目指す~(PDF)