早稲田大学理工学術院田中英一郎教授と旭蝶繊維株式会社は、荷物等を持ち上げる際の腕と腰を補助するスーツ「e.z.UP・イージーアップ」を開発した。
現在、職業疾病の6割が腰痛とされ、作業労働者の作業負担を軽減しようと各種補助装置が開発されている。腰を屈めて物を持ち上げる際、伸ばす腰の負担を軽減するモータや空気圧などのアクチュエータを使用した装置は、重量があるため長時間装着するのは難しい上、高価。また、ゴムやばねなどを用いた補助スーツの多くは腰のみを補助し、一度装着すると自身で調整が難しく、長時間装着するとかえって疲れる場合もあり、あまり普及していない。
そこで、田中教授らは、上半身には袖、下半身には背中から足裏までベルトのある補助スーツ「e.z.UP・イージーアップ」を開発。腰だけでなく腕の負担も軽減でき、1分程度で装着可能。軽量であるため、長時間装着でき、物流、建設現場、工場ライン、農作業、介護などのあらゆるシーンで幅広く利用できる。この補助スーツを着用すると、持ち上げ動作時の上腕二頭筋と脊柱起立筋の筋活動の最大値が3~5割程度軽減。背面にある四角形の布が変形し、対角線の一方が延ばされると他方が縮むこで、左右非対称の動作に柔軟に対応する。また、長さの異なる2層の伸縮性のある布が、少し腰を曲げたときには柔らかい1層目のみが作用し、深く腰を曲げると2層目も発動することで、段階的に強く脊柱起立筋を補助する。
今後、日野自動車の協力で、羽村工場で補助スーツ「e.z.UP・イージーアップ」を実際の作業時に使用し、実際のラインでの評価を行う。2019年1月には発売を開始する予定。