麻布大学獣医学部の福山朋季准教授と株式会社ユーグレナは、ユーグレナ・グループの八重山殖産が手がける「ヤエヤマクロレラ」の摂取により、人に健康被害を及ぼす「マイコトキシン」の排出が促進されることを明らかにした。
マイコトキシンとは、植物病原菌であるかびや貯蔵穀物などを汚染するかびが産生する化学物質で、マイコトキシンに汚染された食品を食べると、人や家畜の健康に悪影響を及ぼす。例えば、マイコトキシンの一種であるデオキシニバレノールは食欲不振や免疫毒性をもたらし、オクラトキシンAは腎毒性や腎臓がんの原因物質である。複数のマイコトキシンによる複合汚染が生じると、相乗的な毒性作用も危惧されるといい、マイコトキシンの解毒あるいは吸収を阻害する素材の探索が課題となっている。
これまでの研究において、微細藻類の一種であるクロレラは、マイコトキシンの一種であるアフラトキシンの吸収抑制作用を持つことが示されている。そこで本研究グループは、ヤエヤマクロレラの摂取が、デオキシニバレノールおよびオクラトキシンAに対して毒素排出効果を持つかどうかを検証した。
その結果、ヤエヤマクロレラと混合したデオキシニバレノール、オクラトキシンAを摂取したマウスにおいて、血漿中および尿中のマイコトキシン濃度が、ヤエヤマクロレラと混合しない場合に比べて有意に減少することがわかった。このことから、ヤエヤマクロレラがデオキシニバレノール、オクラトキシンAの吸収阻害に有効である可能性が示唆された。
次に、ヤエヤマクロレラとデオキシニバレノール、オクラトキシンAを試験管内で混合・遠心分離し、上清中のマイコトキシン濃度を調べた結果、ヤエヤマクロレラ混合により上清中のマイコトキシン濃度は顕著な減少を認めた。つまり、ヤエヤマクロレラはデオキシニバレノール、オクラトキシンAと強く結合することによって、吸収を阻害し、マイコトキシンの排出を促進する効果を持つと考えられる。
マイコトキシンに対するヤエヤマクロレラの有用性が明らかとなったことで、今後もヤエヤマクロレラのさらなる機能性の解明が期待される。