株式会社リクルートは、Z世代(26歳以下)の就業意識に関する調査をまとめた。なお、この調査は主に2022年度の調査データを活用しており、26歳以下の学生、社会人をZ世代としている。
昨今、「転職」は若年層にとって一般的なものになっている。Z世代(26歳以下)の転職は、5年前の約2倍と右肩上がりで増加し、2020年以降、全体との差が広がり、この動きは「終身雇用」のキャリア観とは異なる様相を見せている(リクルートエージェント転職決定者推移)。また、Z世代はどの会社でも通用する能力を求め、「ゼネラリスト」としてのキャリアを求める傾向があり、「新しいことへのチャレンジ」と「プライベートも重視できる環境」の共存を理想としているのが特徴といえる。
求人市場においても、若年層を対象に、特定の業務経験を積んでいなくても、ポテンシャルを重視して採用する企業が増加。また、第二新卒をターゲットにする企業も増加し、5年で約5.5倍に。構造的な人手不足で新卒充足が難しく、第二新卒の採用を拡大する企業が増えている。若者にとっては、早い段階から自分らしいキャリアを選択していけるチャンスが広がっていく一方、企業側は、多様化する選択肢の中で、変容する若者のキャリア観に向き合わなければ、離職につながってしまうリスクが高まっている。
今回の調査でリクルートHR統括編集長の藤井 薫氏が特に注目したのは、Z世代の「どの会社でも通用する能力を求め」、(スペシャリストではなく)「ゼネラリストとしてのキャリアを求める」といった、一見、相矛盾するキャリア志向だ。終身雇用を前提としないエンプロイアビリティー(雇用される能力)が身につく「新しいチャレンジ」の機会を求めるZ世代の「ゼネラリスト志向」、そこには「スペシャリスト経験を複数持ちたい」「変化のスピードが速い社会に対応したい」という、高次のキャリア志向が見え隠れするようにも感じる。
藤井氏は今注目の「ジョブ型人事制度」が、狭いキャリアパスとして、誤解・忌避されるリスクもあるかもしれないと指摘。若手人材の活躍・定着を目指す企業は、新世代の「ゼネラリスト志向」を持つ、若者たちの声に耳を傾けて職場づくりを行う必要があると見ている。