2023年8月30日、日本私立学校振興・共済事業団が2023(令和5)年度私立学校・短期大学等入学志願動向を発表した。集計した4年制などの私立大学600校のうち、定員割れ(入学定員充足率100%未満)の大学は前年比37校増の320校で全体の53.3%になる。私立短大276校のうち、定員割れの短大は前年比15校増の254校で全体の92.0%になる。私立大学・短大ともに、1989年度調査開始以降、過去最多を更新した。
私立大学の入学定員充足率(私立大学全体の定員に対する入学者数の割合)は99.59%で過去最低、100%を下回ったのは2021年度(99.81%)に次いで2回目となる。定員割れ(入学定員充足率100%未満)は私立大学600校のうち320校。前年度比6.0ポイント増の53.3%で、半数を超えたのは1989年度の調査以来初めて。一方110%を超えた大学も14.3%と過去最低。入学定員の厳格化は緩和されたものの、18歳人口が前年度比で2万3869人減った一方、入学定員は4696人増加(大学や学部の新設など)したことが要因として考えられる。
私立大学の規模別では、入学定員1500名を超える大規模大学は100%を超えているものの、500名以上1500名未満の大学は90%台、500名未満の小規模大学は、定員充足70~80%台と、規模によりはっきりと違いが表れている。地域別に見ると、東北(宮城を除く)、東海(愛知を除く)、中国(広島を除く)、四国の4つの地域が定員充足率80%台。2023年に国立大学の定員増や、私立大学の公立化があった地域とリンクしている。
私立短大の入学定員充足率は71.99%で過去最低、70%台は昨年度に続き2回目。定員割れは私立短大276校のうち254校で、前年度比6.3ポイント増の92.0%。定員充足している私立短大は全国で22校のみとなった。定員規模別・地域別ともに、どの区分も定員充足率70%台が多く、三大都市圏であれば充足するという結果にはなっていない。
「私立大学・短期大学等入学志願動向」は、日本私立学校振興・共済事業団が2023年度に実施した「学校法人基礎調査」から、入学定員、志願者数及び入学者数等を集計し、入学定員充足率や志願倍率等の動向を規模別、地域別、学部系統別にまとめたもの。 調査基準日は2023年5月1日。調査対象校は、私立大学・短期大学(株式会社が設置する学校は除く)。集計学校数は、大学600校(607)、短期大学276校(289)、大学院485校(488)。なお、集計学校数は()内の調査対象校から通信教育部のみを設置する学校及び募集を停止している学校を除いた学校数。大学院のみを設置する学校は「大学院」で集計している。