文部科学省は「地域教員希望枠(地域枠)」を設けて地域の教員確保を目指す大学を支援する方針を固め、国の2024年度予算概算要求に17億円を盛り込んだ。若者の教員離れで志願者の減少が続く中、地域枠を教員不足対策の柱にしたい意向で、将来は全国への拡大も視野に入れている。
文科省によると、地域枠は教職課程を持つ大学が特定の都道府県や市町村で教員を目指す高校生を対象に推薦入試などで学生を募る制度。支援期間は2024年度から5年間の予定で、地元の教育委員会などと連携して進める取り組みの経費や地域課題に対応したコース、カリキュラムの構築などを補助する。
地域枠自体は大分大学や福井大学、横浜国立大学、千葉大学などで導入例がある。文科省はこれを他の地域に拡大させたい考えで、概算要求では単独で事業を進める大学25校に対し、最大4,000万円、複数の大学で連携する大学10組に対して最大7,000万円の計17億円配分を求めている。
教員は激務であるうえ、離島や山間部などで勤務することがある。このため、若者の志願者がこのところ急激に減っている。新規学卒の小中高校教員試験受験者は2013年の全国約4万8,000人が2020年に4万人弱に減ったほか、採用倍率は2000年の小学校12.5倍、中学校17.9倍が2020年に小学校2.5倍、中学校4.7倍に下がっている。その結果、多くの地域で教員不足が深刻化しているうえ、特に小中学校と特別支援学校で顕著になってきた。