中部大学応用生物学部の水野雅玖修士と大場裕一教授、および中部大学が大学間協定を締結しているタイ王国チュラロンコン大学のアーシット・ポンヨタ博士とソムサク・パンハ教授らは、発光性カタツムリの新種である5種を発見したことを発表した。
カタツムリは世界に約30,000 種が知られるが、そのうち光るのは、これまで1943年に日本人生物学者の羽根田弥太博士がシンガポールで発見した通称ヒカリマイマイの一種だけであった。深海では新しい発光生物が見つかることはよくあるが、陸上から発光する生物が新たに見つかることは少ない。
今回の研究では、タイの生物調査にて各地からカタツムリを採取した結果、ヒカリマイマイとは異なる発光カタツムリが5種見つかったという。1種は、ヒカリマイマイと同じヒカリマイマイ属の新種だったが、残る4種は、これまで発光することが知られていなかったプファニア属だった。ヒカリマイマイは口の付近が緑色に点滅して発光するのに対し、プファニア属のカタツムリは体(外套膜と腹足)が連続的に緑色に発光する。また、休眠中の個体や卵も同じ緑色発光することが確認された。
これらのカタツムリが発光する理由についてはよく分かっていないが、大場教授らは、光ることでホタルなどの不味い味や毒を持った発光生物に擬態し、敵からの捕食を逃れている可能性が考えられるとしている。
80年ぶり世界で2例目かつ同時5種の光るカタツムリ発見となった今回の研究成果は、タイの自然の生物多様性の高さを示しており、まだ未発見の生物とその現象が多く残されている可能性も示唆される。中部大学とチュラロンコン大学は、今後もさらにタイの生物調査を進めていく予定だとしている。