九州大学大学院理学府の井上裕貴さん、相模中央化学研究所の田中陵二主任研究員、日本地学研究会の萩原昭人さん、大阪大学総合学術博物館の石橋隆招へい研究員らのグループは、北海道鹿追町、愛別町の山林で新鉱物「北海道石」を発見、国際鉱物学連合から命名を承認され、登録を認められた。日本発の有機鉱物の新鉱物になる。
九州大学によると、北海道石は学名「ホッカイドウアイト」。研究グループは鹿追町で古温泉によって形成されたオパール中に淡黄色樹枝状結晶として、愛別町で石英中のすき間に存在しているのを見つけた。保全のため、詳細な産出場所は公表されていないが、大雪山国立公園、とかち鹿追ジオパークの近くに当たる。発見した試料はとかち鹿追ジオパークビジターセンターなどで展示が予定されている。
北海道石の正体は炭素および水素のみから成る「ベンゾペリレン」の天然結晶。紫外線を受けると蛍光を生じる特徴を持つ。コロネンと呼ばれる有機化合物の天然の前駆物質と考えられているが、コロネンの生成メカニズムについては詳しい情報がないだけに、コロネンの生成メカニズムだけでなく、熱水に伴う石油の形成プロセスを解明する鍵になると期待されている。
研究成果は日本地球惑星科学連合2023年大会、岩石水相互作用と応用同位体地球化学の国際会議で発表された。