中央教育審議会大学分科会の法科大学院等特別委員会が文部科学省で開かれ、2019年度に学生募集する法科大学院が全国で36校にとどまることが報告された。新たに導入された予備試験に人材が流出するなどし、法曹界を目指す学生の選択肢から外れつつあるためで、2018年度に定員を満たした法科大学院は一橋大学など全国3校しかなかった。
文科省の報告によると、法科大学院は裁判員制度とともに司法改革の柱として導入された。スタート時の2005年度には全国で74校が設置され、合計5,825人の入学定員があったが、志願者の減少とともに学生募集を停止するところが相次ぎ、2019年度は36校、2,253人の入学定員になる。
2018年度は39校が学生を募集したものの、定員を満たす合格者があったのは一橋大学、明治大学、甲南大学の3校だけ。長く定員割れが続いてきたこともあり、横浜国立大学、近畿大学、西南学院大学の3校が2019年度から募集を停止する。これで廃止または学生募集停止が38校に達し、スタート時の半数以上が消えた。
学生募集を続けている法科大学院もそろって入学定員を削減しているほか、日本大学と駒澤大学は司法試験の累積合格率が20%台、甲南大学、専修大学、関西大学、筑波大学、琉球大学の5校は30%台に低迷している。
文科省は制度の一部修正で立て直しを図りたい考えだが、法曹界には存在意義が失われたと批判する声もあり、抜本的な見直しを迫られる可能性が出ている。