歯が虫歯になりやすくなる小児のエナメル質形成不全が西日本に多く、東日本で少ない西高東低の分布を示すことが、日本小児歯科学会と富山大学の調査で明らかになった。全国規模の調査でエナメル質形成不全の有病率や地域差が分かったのはこれが初めてという。
調査は日本小児歯科学会臨床研究推進委員会が2015年10月から2016年1月にかけ、全国388の歯科診療施設の協力を得て7歳から9歳の健常児童4,985人を対象に実施。このうち、エナメル質形成不全の情報などが完全だった4,496人について、富山大学医学部の関根道和教授らが分析した。
それによると、エナメル質形成不全の有病率は全国で19.8%。地域別で見ると、北海道が14.0%、東北が11,7%、関東信越が18.5%、東海北陸が19.3%と東日本で低かったのに対し、近畿が22.3%、中国が19.8%、四国が28.1%、九州が25.3%と西日本で高い数字が出た。最も高い四国の数値は最低の東北の2.4倍になる。
エナメル質形成不全は歯を構成するエナメル質が正常に形成されない病気で、軽度なら生えたばかりの歯が黄色や茶色に変色しているのが特徴。重度になると歯が欠損して内部の象牙質が見えることもある。いずれのケースも虫歯になりやすく、前歯の場合は審美的な問題が生じる。
原因としては乳歯なら早産や栄養障害、妊娠中の抗生物質服薬など、永久歯だと感染症、栄養障害、乳歯の虫歯などが考えられる。