富山大学地域連携推進機構地域医療保健支援部門は、 富山県教育委員会との連携事業として実施された文部科学省スーパー食育スクール事業の追加調査を実施し、子供の「運動不足※」に社会環境の要素、家庭環境の要素、子供自身の生活習慣の3つの要素があると指摘した。子供の運動習慣の健康への影響に関する研究は多数あるが、運動習慣の背景にある家庭環境や社会環境に注目した研究は少なく、貴重なデータといえる。

 調査は高岡市内の5つの小学校に通う1年生から6年生までの全児童2129名を対象とし、2016年1月に家庭の社会経済環境、親子の生活習慣などに関するアンケートを実施した。回収数は1987名(回収率93.3%)のうち1721名を分析対象とした。

 分析の結果、「運動不足」の子供の特徴として「仲のよい友達がいない」「2時間以上のメディア利用」「母親の生活習慣が良くない」「親とのコミュニケーションが少ない」という特徴があることがわかった。

 詳しくみると、年齢や性別等の他の要因を考慮した統計分析の結果、「仲のよい友達がいる」子供を基準とした場合の「仲のよい友達がいない」子供の運動不足に対するオッズ比(リスク指標)は5.40。「2時間未満」の子供を基準とした場合の「2時間以上メディアを利用する」子供の運動不足に対するオッズ比は1.47。「頻繁にコミュニケーションをとる」子供を基準とした場合の「親とのコミュニケーションが少ない」子供の運動不足に対するオッズ比は1.59だった。

 親の生活習慣については7つの生活習慣「①適切な睡眠時間(7~8時間)をとる ②喫煙をしない ③適正体重を維持する ④過度の飲酒をしない ⑤定期的な運動を行う ⑥朝食を毎朝食べる ⑦間食をしない」で評価。当てはまる項目が0~3個の場合を生活習慣が「わるい」、4~5個の場合を「ふつう」、6~7 個の場合を「よい」として、子供の運動習慣との関係を評価。親の生活習慣が「わるい」と子供は運動不足の傾向があった。

 さらに、父親の生活習慣が「よい」家庭を基準とした「わるい」家庭における、子供の運動不足に対するオッズ比は1.28、母親の生活習慣が「よい」家庭を基準とした「わるい」家庭における、子供の運動不足に対するオッズ比は1.54だった。

 今回の調査によって、子供の望ましい運動習慣づくりには、3つの要素(①社会環境の要素、②家庭環境の要素、③子供自身の生活習慣の要素)があり、社会環境のような自分自身の力だけでは見直しが難しいものと、親の生活習慣や子供の生活習慣のように見直しが可能なものがあると解明。子供の望ましい生活習慣づくりには、子供に対する健康教育だけではなく、親に対する健康教育も必要であり、地域社会や学校の協力の下に子供の健康習慣づくりを進める必要があると考えられる。

※子供の「運動の実施頻度」について、「たいへんよくする」「よくする」「あまりしない」「しない」の4段階で評価し、「あまりしない」「しない」と評価した子供を「運動不足」と評価。この質問による運動習慣は、腕時計型活動記録計による消費カロリーの推計値と相関することを、本研究チームの過去の研究で確認している。今回の調査で運動不足と判断された子供は27.7%だった。

論文情報:【Environmental Health and Preventive Medicine】Social and family factors as determinants of exercise habits in Japanese elementary school children: a cross-sectional studyfrom the Super Shokuiku School Project

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。