千葉大学などが開発した脱いじめ傍観者教育プログラムを千葉、埼玉両県の公立中学校で実施したところ、いじめを否定する意識が高まっていることが、千葉大学などで構成する研究グループの調査で分かった。ただ、学級風土の良くないクラスでは逆効果となる一面も見られ、学級風土の状態が教育効果に影響を与えている。
調査は千葉大学、静岡大学、兵庫県立大学が連携し、千葉県柏市、野田市、埼玉県草加市にある43の公立中学校1年生6,462人を対象に、脱いじめ傍観者教育プログラムの実施前と実施後に質問紙を配布して行い、学級風土の状態を良い、中間程度、良くないの3段階に分けて集計した。
それによると、いじめを否定する意識はすべての学級風土で傍観者教育プログラム実施後に高まった。学級風土が良いクラスでは特に上昇の度合いが高いことも分かった。
傍観者の行動では、いじめられている子を慰めるなどの支持行動が学級風土の良いクラスで高まったものの、中程度や良くないクラスでは低下した。いじめをやめるようにいう仲裁行動は、学級風土の良いクラスで大きく伸びたが、良くないクラスではほとんど変化がなかった。
周りに同調したり、調子を合わせたりする同調行動は、学級風土の良いクラスでほとんど変化がないものの、良くないクラスでは増加した。報告行動は学級風土の良いクラスで増えたが、中程度のクラスで微増、良くないクラスで減るなど、学級風土によって結果が大きく分かれている。
傍観者の行動で良好な変化が見られるのは学級風土の良いクラスだけで、学級風土の良くなくクラスでは逆効果を生む一面もあったことから、研究グループはいじめ予防教育の継続と学級風土を良くする努力が必要とみている。