2024年1月29日、厚生労働省で第1回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会が行われた。これまで行われてきた議論を踏まえ、地域枠をはじめとした医師養成過程を通じた医師の地域偏在・診療科偏在について検討する。

 全国の医師数は年々増加し、2020年には1982年と比較して約2倍、2010年からの10年間に約4万5000人増加している。2023年の医学部入学者が医師となると想定される2029年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降は人口減少に伴い医師の数が過剰となる。医学部入学定員については、2024年度の入学定員を維持すれば、2050年には18歳人口のうち約85人に1人が医学部に進学する見通しとなる。

 医学部の臨時定員は、2008年度から緊急医師確保対策や新成長戦略に基づき暫定的な増員が行われてきた。2022年以降については、定期的な医師の需給推計を行ったうえで、働き方改革や医師偏在の状況に配慮しつつ、将来的な医学部の減員に向けた医師養成数の方針を検討する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大により議論が遅れていた。

 本検討会では、将来の医師需給推計、医師養成数、医師偏在対策等、これまでの検討が一定のとりまとめをされたことを踏まえ、医学部臨時定員の在り方について、地域枠をはじめとした医師養成過程を通じた医師の地域偏在・診療科偏在と一体的に検討する。

今後も個別の地域や医療機関における「医師不足感」については生じうるが、解決を医師の数だけに求めず、原因に応じた対策を推進する必要がある。本検討会での長期的課題は2025年夏以降に中間とりまとめを行う予定。

 なお、2025年度の医学部入学定員については、2024年度の枠組みを暫定的に維持することが示されている。

参考:【厚生労働省】第1回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会

大学ジャーナルオンライン編集部

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