学生アルバイトの6割が労働基準法で義務づけられた労働条件通知書を交付されず、5割が労働条件でトラブルになっていたことが、厚生労働省の調査で明らかになりました。労働基準法を無視したアルバイト採用が常態化していることを受け、厚労省は事業主団体へ文書で関係法令を守るよう呼びかける一方、都道府県労働局長による助言、指導を強化します。

調査は、8月27日から9月7日までの間、インターネット調査の協力者として登録している大学生、大学院生、短期大学生、専門学校生のうち、週1日以上のアルバイトを3カ月以上したことがある1,724人を対象に実施。このうち、回答が早かった1,000人分の答えを集計しました。1,000人が経験したアルバイトの総数は1,961件。

それによると、アルバイト先はコンビニエンスストアが最も多く、全体の15.5%。次いで学習塾(個別指導)14.5%、スーパーマーケット11.4%、居酒屋11.3%の順。学生が経験したアルバイトのうち、58.7%は労働条件を示した書類が交付されず、19.1%は働く前に口頭でも具体的な説明がなされていませんでした。
明示された労働条件のうち、年次有給休暇は17.1%、退職規定は26.6%、残業の有無は37.4%、休憩時間は47.6%しか公表されていません。賃金の支払い日は32.5%、賃金の支払い方法は29.1%、賃金額は23.0%が明らかにしていないことが分かりました。

アルバイト先で労働条件をめぐってトラブルが発生したのは、48.2%に達しました。準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった(13.6%)、1日の労働時間が6時間を超えても休憩がなかった(8.8%)、労働時間の管理ができていない(7.6%)、時間外労働や休日、深夜労働に割増料金が支払われない(5.4%)、残業代の未払い(5.3%)など、労働基準法に違反する例も少なくありませんでした。
そのほか、採用時に合意した以上のシフトを入れられた(14.8%)、一方的に急なシフト変更を命じられた(14.6%)、採用時に合意した以外の仕事をさせられた(13.4%)、一方的にシフトを削られた(11.8%)、給与明細書をもらえなかった(8.3%)などのトラブルも発生していました。

出典:【厚生労働省】大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果について

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。