佐賀大学の研究グループは、お酒を飲むと顔が赤くなるアジアンフラッシュ体質が新型コロナウイルス感染症に対し防御的であることを報告した。

 アジアンフラッシュ体質は飲酒後に皮膚紅潮や頭痛、動悸などの不快症状を経験する体質を指しており、一般的にお酒に弱い・飲めない人が多い。アルデヒド脱水素酵素2型酵素(ALDH2)の遺伝子多型のひとつ、rs671変異保有者の特徴となる。

 東アジア人に特有の体質であるためアジアンフラッシュと呼ばれ、日本人の約半数が該当する。日本では縄文時代から弥生式時代の移行期にrs671変異が広がり、当時蔓延した感染症に対して保護的だった可能性がある。

 今回、COVID-19に対するrs671の防御効果を検証するため、飲酒後の皮膚紅潮現象とCOVID-19発症時期との関連をウェブ上の調査ツールを用いて調査。2019年12月から2021年8月までの21か月間を主な観察期間とした。

 アジアンフラッシュ体質ではない人が362名、アジアンフラッシュ体質の人が445名の合計807人から有効回答を得た。その結果、アジアンフラッシュ体質の人のほうが、COVID-19の発症が遅い傾向があり、入院のリスクは低かった。この観察期間では、アジアンフラッシュ体質の人のCOVID-19リスクが、アジアンフラッシュ体質ではない人より79%低いと見積もられた。また、習慣的飲酒(週1回以上)によるリスクは、有意な影響を認めなかった。

 日本のCOVID-19罹患率・死亡率は、OECD加盟国38か国の中で最下位層に位置する。今回の研究により、アジアンフラッシュ体質がCOVID-19の防御因子の一つであることが示唆され、罹患率・死亡率の低さを説明し得る因子を提示できたとし、さらに、rs671変異が感染防御特性により広がった(適応進化)という仮説を支持するものとしている。

論文情報:【Environmental Health and Preventive Medicine】Asian flush is a potential protective factor against COVID-19: a web-based retrospective survey in Japan

大学ジャーナルオンライン編集部

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