2024年4月8日、文部科学省は、2025年度からの国立大学の収容定員の増加に係る設置計画一覧を発表した。「大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」により、国立大学の情報系学部学科の入学定員が286名増する計画であることがわかった。
情報系学部学科の入学定員が増加するのは、筑波大学、横浜国立大学、大阪大学、神戸大学など計10大学。いずれも、2024年度からはじまった「高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援」による定員増に関係している。
同支援は、原則2024年度から3年間を受付期間として、国公私立の大学・高専(情報系分野 大学院段階の取組を必須)を対象とし、次の3つの枠が設けられている。
・既設の情報系分野に係る研究科、専攻を有し、大学院における研究科、専攻、コース等の設置・増員、又は、専攻に係る課程の変更による体制強化を図る取組に対して支援を行う「一般枠」
・情報系分野に係る学部・学科を有する大学が研究科の設置を行う取組等に対して支援を行う「特例枠」
・海外トップ大学との連携、地域・国の産業振興に大きく資する取組推進など、規模や質の観点から極めて高い効果が見込まれる計画を有する大学に対して一定額を加算して交付する「ハイレベル枠」
大学院段階に加え、学部段階の体制強化を行う場合には、学部段階の取組を大学院段階の取組より先行して行うことも可としているため、学部の入学定員の増枠も認められている。
また、早稲田大学基幹理工学部では、学系入試制度の改革を行い、現行の3学系から4学系に再編する。工学系(学系 Ⅱ)350名を、学系2(工学系)235名 及び学系3(情報系)155名に分けることが決まっており、情報系の入学定員割合が増加している。
このように、私立大学においても情報系学部学科の新設・改組が多くなっており、2024年度に続いて2025年度入試においても情報系の入学定員が大きく増える見込み。高校生の希望者が増えなければ、低倍率になる学部学科も増えることが予測される。
大学・高専機能強化支援 (高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)による定員増は以下のとおり。
<2025年4月 国立大学情報系学部学科の定員増>計286名
福島大学 理工学群 共生システム理工学類 160→200
茨城大学 工学部 情報工学科 90→100
筑波大学 理工学群 工学システム学類 130→138
筑波大学 情報学群 情報科学類 80→86
筑波大学 情報学群 情報メディア創成学類 50→54
横浜国立大学 理工学部 数物・電子情報系学科 287→310
新潟大学 工学部 工学科 530→535
新潟大学 創生学部 創生学修課程 65→70
三重大学 工学部 総合工学科 400→430
大阪大学 工学部 応用自然科学科 217→222
大阪大学 工学部 電子情報工学科 162→190
大阪大学 基礎工学部 電子物理科学科 99→103
大阪大学 基礎工学部 システム科学科 169→174
大阪大学 基礎工学部 情報科学科 83→101
神戸大学 システム情報学部 システム情報学科 0→150
※2025年4月新設。工学部 情報知能工学科107名募集停止
奈良女子大学 生活環境学部 文化情報学科 45→57
広島大学 工学部 第二類(電気電子・システム情報系) 90→100
広島大学 情報科学部 情報科学科 150→180
<2024年4月 国立大学情報系学部学科の定員増>計365名
北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス学科 180→230
東北大学 工学部 機械知能・航空工学科 234→247
東北大学 工学部 電気情報物理工学科 243→263
東北大学 工学部 建築・社会環境工学科 107→114
東京工業大学 情報理工学院 92→132
電気通信大学 情報理工学域 Ⅰ類(情報系) 225→255
金沢大学 融合学域 スマート創生科学類 20→55
金沢大学 理工学域 電子情報通信学類 76→116
岡山大学 工学部 工学科 610→640
愛媛大学 工学部 工学科 500→530
佐賀大学 理工学部 理工学科 480→510
大分大学 理工学部 理工学科 355→395
参考:【文部科学省】令和7年度からの国立大学の収容定員の増加に係る設置計画一覧(PDF)
【早稲田大学】2025 年度以降の基幹理工学部における学系入試制度の改革(学系再編)について (PDF)