武庫川女子大学は、2025年4月、13番目の学部となる「環境共生学部」を開設する(設置構想中)。理系転換による大学の機能強化を支援する文部科学省の「大学・高専機能強化支援事業」に選定されており、女性の理系人材育成とともに、文理の枠にとらわれず、新しい発想で社会に貢献できる人材を育成する。

 温室効果ガスの排出、異常気象、海洋汚染、土壌汚染などの危機的現状を好転させ、持続可能な地球環境と人類の未来を守るには、人と自然の現状を正しく理解する科学的知識、あらゆる事象に「問い」を立てる柔軟な発想力、そして行動する力が必要とされる。拡大するグリーン(エネルギー・環境)分野をはじめ、新たな発想で突破口を拓く意欲的な人材が求められており、とりわけ女性の台頭が待たれている。

 このような社会背景に基づき設置構想する「環境共生学部」は、入学定員120人(収容定員480人)。河川や海洋、大気、水質を問う「環境保全」、地質や里山、生物多様性を問う「環境共生」、微生物や遺伝子、鉱物等の地球資源の活用を問う「環境資源応用」の3つの領域から科目を自在に選び、少人数でのプロジェクトを通して知識と技術の修得につなげる。教員には様々な専門領域をカバーする各分野の専門家を配置。プロジェクトごとに担当教員を配置し、専門性に特化した科目選択を支援する。

 地球規模の課題を肌で感じるため、フィールドワークを重視し、メインキャンパスは浜甲子園キャンパスだが、武庫川女子大学の施設である丹嶺学苑研修センター(神戸市北区)、名塩野外活動センター(西宮市)、時にはアメリカ・ワシントン州にあるアメリカ分校を活用。産官学のコラボレーションで地域との連携も深める。総合大学の強みを活かし、健康や食、心理、薬、建築、経営など多様な学部と連携し、相乗効果を目指す。

 西日本の女子大学は2025年度以降、学部・学科の新増設の構想が相次いで発表されており、2024年1月現在、安田女子大学理工学部・教育学部幼児教育学科、神戸女子大学教育学部、大阪樟蔭女子大学学芸学部リベラルアーツ学科、神戸女学院大学生命環境学部、甲南女子大学心理学部の5女子大学6学部・学科が設置される予定となっている。

参考:【武庫川女子大学】2025年4月、人と自然の関わりを科学する 環境共生学部を設置構想中です。

武庫川女子大学

女子総合大学の強みを生かし、「一生を描ききる女性力を。」養成

2019年に創立80周年を迎えた武庫川学院は、建学の理想である「立学の精神」に込め、「高い知性、善美な情操、高雅な徳性」を備えた女性の育成を教育理念に掲げています。理系、芸術系まで幅広い12学部19学科を有し、自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いて[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。