文部科学省は、国公私立大学・公私立短期大学を対象に、総合型選抜導入の「目的」「効果」「課題」などを調査した報告書を公表した。

 調査は2023年9月~2024年1月の間、国公私立大学782校、公私立短期大学290校を対象に実施、大学765校、短大285校から回答を得た。このうち、大学の85.6%(国立78.0%、公立43.6%、私立93.4%)、短期大学の95.1%(公立64.3%、私立96.7%)が既に総合型選抜を導入している。

 報告書の結果をまとめると、総合型選抜は、他の選抜方法より評価する観点の設計が難しいものの、受験者を多面的・総合的に評価して選抜するため、学力の高い入学者ではなく学修意欲の高い入学者を選抜できる効果がある。導入については、早期に入学者確保をするための目的もありさらに促進していきたいが、費用面というよりも業務時間に課題を抱えていると考察できる。

 総合型選抜の導入「目的」は、大学、短大ともに「学力の評価だけではなく、受験者を多面的・総合的に評価する選抜を実施するため」(大学98.6%、短大97.8%)が最も多い。逆に、最も低いのは「高等学校での総合的な探究の時間を活かすことのできる選抜を実施するため」(大学40.8%、短大37.7%)。

 また「入学定員が充足されるよう早期に入学者を確保するため」(大学66.1%、短大80.9%)と、定員充足が目的の大学も多いことが明らかとなった。

 総合型選抜の導入「効果」は、大学、短大ともに「他の選抜方法と比較して、受験者を多面的・総合的に評価する選抜を実施できた」(大学90.8%、短大90.4%)、「他の選抜方法と比較して、学力検査を重視した入試では選抜できない資質を持つ入学者を選抜することができた」(大学87.3%、短大83.1%)とする回答が多くなっている。

 また「他の選抜方法と比較して、学修意欲の高い入学者を選抜できた」(大学で63.8%、短大で54.1%)、「他の選抜方法と比較して、大学の学業成績が良い入学者を選抜できた」(大学で19.6%、短大で16.6%)との回答結果も出ており、総合型選抜の実施によって他の選抜と比較して学業成績ではなく、学習意欲の高い入学者を確保できている様子が分かる。

 総合型選抜の導入「課題」は、「他の選抜方法より、評価する観点の設計が難しい」(大学59.4%、短大45.4%)が最も高く、「他の選抜方法より、選抜に関係する業務時間の負担が大きい」(大学56.5%、短大45.0%)が続く。また、最も低いのは「他の選抜方法より、選抜に関係する費用の負担が大きい」(大学17.0%、短大8.1%)となっており、選抜の設定はもとより、費用面よりも業務時間に関する課題が見えている。

※数値は、「大変当てはまる」、「やや当てはまる」の合計

参考:【文部科学省】大学入学選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究(成果報告書概要)(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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