文部科学省は大学が産学官連携で外部資金を獲得する際の参考事例となる調査分析成果報告書とリーフレットを作製した。弘前大学、東北大学、神戸大学、立命館大学など全国9大学からヒアリングした15の先進事例を紹介するほか、産学官連携でしばしば問題となる課題の解決方法をまとめている。

 大学が企業や地方自治体と産官学連携を進めるには、戦略的パートナーになる段階で互いのビジョンを共有してテーマに落とし込む必要があるほか、企業との契約はお互いがプラスになるものでなくてはならない。報告書とリーフレットでは、こうした課題に対し一つひとつ具体的な成功事例と解決策を明示している。

 さらに、「企業とのコネクションが構築できない」「大学側のプロジェクトマネジメント力が弱い」「研究者のインセンティブになる制度が不足」「次期テーマに繋げる動きが乏しく再現性のあるテーマ創出ができていない」など、産学官連携の各段階で乗り越えなければならなかった具体的な課題を9大学の事例から細かく紹介、産学官連携を推進するために必要な支援体制について分かりやすく解説している。

 企業から大学への投資はこのところ、順調に増加しているが、企業との共同研究は小規模のものが多い。1,000万円以上の共同研究は共同研究総数の5.4%にとどまっている。より多くの外部資金を大学が得るには、戦略的パートナーシップを密にし、互いがプラスになる関係を構築するなど課題が山積している。

参考:【文部科学省】「研究大学における外部リソースの更なる獲得に向けた効果的な産学官連携活動等に係る調査分析」の成果報告書について

大学ジャーナルオンライン編集部

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