東京大学生産技術研究所(以下「東大生研」)とエア・ウォーター株式会社(以下「エア・ウォーター」)は、農作物の収穫適期の「予測」技術と、生育差などを検出する「観察」技術を開発した。

 東大生研とエア・ウォーターは、2020年12月に「IoTセンシング解析技術」社会連携研究部門を設置し、スマート農業に関する共同研究を進めてきた。今回発表したのは、農作物の生育期間における有効積算温度から、収穫適期を高い精度で予測する技術。これにより、高額な設備投資を必要とせず、気温データの収集のみで収穫適期を判断し、過熟/未熟による品質低下や収穫ロスの低減が期待できる。

 この「予測」モデルを応用し、機械学習を用いてブロッコリーの収穫予測を行ったところ、植え付けた日からブロッコリーの収穫適期を平均2.5日未満の精度で予測することに成功したという。

 さらに、ドローンを用いた空撮画像から農作物の個体番号を割り振り、個体番号ごとに生育差(農作物の生長量・生育速度)を検出する「観察」技術も開発した。「観察」技術により、収穫数/量が予測できるようになるため、収穫に関わる機材や人員、集荷などの最適化が見込まれ、生産性の向上につながるとしている。

 今後は、日本の農業が進むであろう機械化による一斉収穫を見越し、個体ごとでなく畑(圃場)全体に関する「予測」と「観察」のさらなる精度向上に取り組む。また、気象予測を用いた収穫適期予測精度の向上や、ドローンで観察・把握した情報をもとに圃場走行ロボットが人に代わって農作物のモニタリングを行う研究開発などを並行して進め、社会実装を目指していくとしている。

論文情報:【Journal of Agronomy】RNN-Based Approach for Broccoli Harvest Time Forecast
【Sensors and Materials】Locating Open-field Broccoli Plants with Unmanned Aerial Vehicle Photogrammetry and Object Detection Algorithm: A Practical Prediction Approach

大学ジャーナルオンライン編集部

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