政治が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」に大学のITをはじめとする理工系分野の女性比率を高めることが明記された。日本の女子の学力は経済協力開発機構(OECD)でトップクラスに位置するが、理工系に進む女性比率は最低水準で、政府を挙げて現状打開に挑む。

 内閣府によると、骨太の方針2024では、第2章の「社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現」に、理工系分野の大学・高専生、教員らに占める女性比率の向上に向け、女子中高生の関心を醸成し、大学上位職への女性登用を促進するとともに、政策決定過程への女性参画を促し、必要な男女別データの収集・分析を強化すると記した。

 イノベーションを起こすには多様な視点から技術革新を進める必要があるが、日本は男性だけの視点で取り組んでいる傾向が強い。このため、経済界から理工系分野の女子学生や女性教員・研究者の養成を求める声が上がっている。政府は低迷を続ける日本経済の復活に向け、女性比率の向上を目指すことにした。

 テクノロジー分野の教育を通じてジェンダーギャップの是正を目指す特定非営利法人Waffleによると、OECDの国際的な学習到達度調査で日本の女子の学力はトップレベルになっているものの、高等教育機関の工学分野入学者に占める女性の割合は加盟77カ国中最下位で、ICT関連に興味を持つ15歳女子の割合も3.4%にとどまっている。Waffleでは、2019年の団体設立以来、女子およびノンバイナリーの中高生・大学生向けの教育事業を推進するとともに、政府に対して制度改革や構造変革の提言を積極的に行ってきた。

参考:【特定非営利活動法人Waffle】日本政府「骨太の方針2024」および「女性版骨太の方針」にIT分野を始めとする理工系分野の女性増加に向けた取り組みが明記〜地方を含めた中高段階の理系的体験格差の解消と、理工系女性の増加を目指して〜
【内閣府】経済財政運営と改革の基本方針2024

大学ジャーナルオンライン編集部

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