鹿児島大学大学院、海洋研究開発機構、九州大学の研究グループは、株式会社ピリカが開発したごみ拾いSNS「ピリカ」と、深層学習に基づく画像解析AIにより、街中のごみ量を種類ごとに可視化するシステムを開発した。
海洋プラスチック汚染の源の多く(8割程度)は、街に流出した生活ごみといわれている。特に河川が近くにあるような海岸では、多くの生活ごみが海岸に漂着する。削減対策には、汚染源である街中のどこが、どの程度、どのようなごみで汚染されているかを可視化することが非常に重要となる。
スマートフォンアプリごみ拾いSNS「ピリカ」は、世界132カ国で利用され、累計3.6億個のごみが拾われている。今回開発したシステムは、このスマートフォンアプリと深層学習を組み合わせたもの。これにより、街中ごみの可視化により、汚染の源となっている品目や場所を特定し、優先順位を付した汚染対策の立案に寄与することが可能になる。
また、街の清掃活動が街の継続的な美化にどの程度寄与しているかはこれまでは不明だった。この技術により、特定区域の定期的観測システムが確立できれば、清掃効果がその後のごみ増加量にどの程度寄与しているかを可視化できる(例えば、割れ窓理論によるごみ増加の抑制の有無など)。
同様に、このような定期的な観測結果に基づいて、例えばある特定品目の排出抑制対策などを実施した場合、その対策の効果を地図上で可視化し、社会に向けて公開することも可能になる。実現の鍵となるのが市民科学で、市民参加によるスマホアプリを通じたデータ収集により、各地域に特化したシステムへの発展が期待されるとしている。