東京科学大学の室伏広治特命教授、獨協医科大学埼玉医療センター、早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授、苑田会苑田第三病院らの共同研究グループは、室伏特命教授が開発したKoji Awareness(KA)テストのスコア(KAスコア)が加齢に伴い低下し、49.1歳を境に急激に低下することを明らかにした。
KAテストは、特別な道具を使用せず、誰でも手軽に行うことができる運動機能のスクリーニングテストである。KAスコアが高いほど、運動機能が良好であると評価することができる。
加齢に伴い運動機能が低下することは多くの報告で明らかとなっているが、これまで、KAスコアと年齢との関連は分析されていなかった。そこで本研究は、KAスコアと年齢との関連を明らかにすることを目的として実施された。
723名(女性523名、男性209名)を対象にKAスコアを算出し、年齢との関連の分析、KAスコアが低下する変曲点の年齢の推定を行った。その結果、年齢とKA総スコア、および各パート(上半身、体幹、下肢)のKAスコアの間に負の相関関係を認めた。加えて、KA総スコアは、49.1歳を境に急激に低下することも判明した。性別による違いについては、女性において上半身のスコアが男性よりも急激に低下することを見出した。
以上の結果から、運動機能を評価するKAスコアは、性別にかかわらず加齢に伴い低下し、中でも49.1歳を境に運動機能が急激に低下すると考えられた。KAスコアを測定することで、加齢に伴う運動機能の低下を把握できることから、スコアの低下を認めた場合に運動機能を改善するエクササイズの実施が、サルコペニアやロコモティブシンドロームといった運動器障害の予防策となりうる。将来的な医療・介護費の軽減の一助として、KAスコアはアスリートのみならず幅広い年代に広く普及できる可能性がある。