熊本大学と熊本県、熊本県球磨村が共同で実施した「全国初の電動スクールバスの実証による地域の脱炭素化、強靭化の取り組み」が、環境省の気候変動アクション大賞に選ばれた。
熊本大学によると、中山間地域におけるエネルギー地産地消、地域強靭化、過疎化や学校統廃合を受けた交通手段の確保などの地域課題を大学研究者の視点で分析し、これらを横断的に解決する方策として、2021年度から2023年度にかけて全国初の電動スクールバスの実証を行った。
本取組みでは、電動スクールバスを地域の「走る蓄電池」として、太陽光発電を有効に活用する充放電制御や非常電源等の機能を開発。電動スクールバスに太陽光発電が多い日中の電力を充電して走行し、夜間に地域に電力を供給。災害発生時には地域の非常電源となるというもので、2年間、1.4万kmに及ぶ実証試験でその効果を明らかにした。
それによると、従来のマイクロバスと比べてCO2排出量をほぼ半分の年間4.42トン減らし、燃料費が61%低減することが分かった。また、太陽光発電が多い日中の電力を夜間に供給でき(年間4MWh程度)、エネルギー地産地消にも貢献する。さらに気候変動による災害発生時に、移動可能な非常電源として避難所1~3日分の電力を供給することもできる。
今回はスクールバスだったが、マイクロバスを使った通勤、通学、通園、送迎など、地域のグリーンな交通手段として普及が期待できる。環境省は今回の実証事業で遅れている電動マイクロバスの普及に対し、実用性と効果を明らかにしたと評価している。
参考:【熊本大学】熊本大学先端科学研究部が進めてきた「全国初の電動スクールバスの実証による地域の脱炭素化、強靭化の取り組み」が環境省の気候変動アクション環境大臣表彰(大賞)を受賞