東京科学大学とジョンズホプキンス大学の研究グループは、暑さにさらされることが喘息による入院リスクを高めることを明らかにした。また、将来の気候変動や人口の変化を考慮したシミュレーションの結果、今世紀末にかけて喘息で入院する患者がさらに増加する可能性が示された。
喘息はアレルギー原因物質や大気汚染などによって発症する、幅広い年代に見られる病気。気候変動によって将来的に暑い日が増加すると予測されているが、暑い日の増加が喘息にどのような影響を及ぼすのかは十分に解明されていない。
研究グループは、日本全国のデータ(2011年~2019年の9年間)を対象に、年間で気温の高い6月から9月の喘息入院件数と1日の平均気温との関連を調査した。また、気温と人口の将来予測を活用し、暑さが原因となる喘息入院が今世紀末にかけてどのように変化するかをシミュレーションした。
その結果、極端な暑さ(各地域での上位1%に該当する1日の平均気温)にさらされた場合、喘息により入院するリスクが1.22倍に増加していた。また、14歳以下の子どもではリスクが1.33倍となり、特に影響が大きかった。また、将来の気候変動と人口動態を考慮した、気温の上昇幅が最も大きいシナリオにおいて、2090年代の暑さが原因となる喘息患者の入院数は、2010年代と比較して4.19倍に増加すると予測された。
今回の結果は、気候変動により暑い日が増えると予想される中、喘息の悪化を予防するために暑さへの対応や準備を進める重要性を示唆している。また、暑さに伴う喘息入院の増加を見据え、入院医療体制の整備を含む暑さ対策の強化が必要としている。