奥歯の噛み合わせが悪くなるほど死亡リスクが高くなり、良い入れ歯を使用すると低下することが、大阪大学の豆野智昭助教、池邉一典教授、キャンパスライフ健康支援・相談センターの山本陵平教授らの後期高齢者データ解析で分かった。

 大阪大学によると、研究グループは大阪府後期高齢者医療広域連合、大阪府歯科医師会の協力を得て大阪府の後期高齢者歯科健康診査約18万7,000人分のデータを分析し、入れ歯の状態が死亡リスクに与える影響を調べた。分析したデータの平均観察期間は3.2年だった。

 その結果、奥歯の噛み合わせが少ないグループで、状態の良い入れ歯を使っているグループは他のグループに比べ、死亡リスクが低いことが分かった。

 状態の悪い入れ歯を使用している人や入れ歯を使っていない人は、奥歯の噛み合わせが良い人に比べ、死亡リスクが1.8倍になっていた。研究グループは自分の歯を保つことに加え、歯を失っても適切な入れ歯をすることによって健康を保てるとみている。

 入れ歯は歯を失うことで低下した食事の機能を補助し、健康維持に役立つと考えられてきたが、これまで入れ歯の状態が死亡リスクにどう関連するのかを大規模な追跡で明らかにした事例がなかった。

論文情報:【Journal of Prosthetic Dentistry】Removable denture use, fit, and all-cause mortality in older adults with reduced occlusal support: The OHSAKA study

大学ジャーナルオンライン編集部

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