医薬品・健康食品大手の小林製薬が発売した紅麹製品摂取で体調不良を訴える人が相次いだ問題で、大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターの新澤真紀講師、大学院医学系研究科の松井功講師、土井洋平特任助教、猪阪善隆教授らの研究グループが診療に当たった医師を通じて調べたところ、主な病態がファンコニー症候群を伴う腎機能障害であることが分かった。
大阪大学によると、研究グループは2024年3~4月、日本腎臓学会会員医師から腎機能障害と診断された患者192人の検査所見を収集、概要を4、5月に2回にわたって中間報告したが、このうち114人の患者の経過を5~6月に追跡調査し、状況をまとめた。
その結果、初回調査では患者の95.3%に老廃物の排泄障害が見られ、ブドウ糖やアミノ酸、尿酸などが再吸収されずに排泄されるファンコニー症候群を伴う患者が多かった。追跡調査ではファンコニー症候群は紅麹の摂取中止で改善されていたが、腎機能障害は87・0%で残っていた。一般に処方されるステロイド療法が有効でなかったことも明らかになった。
大阪市食中毒対策本部によると、11月末時点の疫学解析結果で小林製薬の紅麹製品を摂取し、健康被害が出たと考えられる患者は2,782人に上る。