東洋大学は、第38回「現代学生百人一首」の入選作品を2025年1月15日に発表した。「現代学生百人一首」は、1987年に東洋大学が創立100周年を迎えた際に「百」にちなんだ記念行事として始めた取り組み。全国で最も累計応募数の多い学生短歌コンクール(2025年1月14日東洋大学調べ)であり、第1回から第38回までの累計応募作品数は183万9935首を数える。
38回目となる今回は5万8839首の作品が寄せられた。テーマである「現代学生のものの見方・生活感覚」を基準に厳正なる審査のうえ、入選作品100首と小学生の部入選作品10首を決定。また、学校全体で取り組み、多数の優れた作品を応募した学校に贈呈する「学校特別賞」も5校、決定した。
今回の応募作品は、コロナ収束後の「日常」に戻った開放感や喜び、恋愛に関する歌が多く読まれた。特に、気になる相手とのSNSでのやりとりを題材とする歌が多くあった。新たに詠まれるようになった「BeReal.(ビーリアル)」というアプリは、通知から2分以内の写真投稿が推奨されており、SNSに追い立てられるような日常も垣間見えた。
また、社会や政治、自然災害への関心も高く、能登半島地震や新紙幣、米不足、クマの出没なども題材となった。閉塞感を感じるような社会問題も、若者らしい視点で鋭く捉え、軽妙に題材とされ、多様性についても深く考え、模索している様子が見受けられた。このほか、ここ数年でAIが身近なものとなったことで、生成AIの使用を疑われることへの戸惑いを詠んだ歌も散見された。
今回の入選作品は、公式Webサイトで閲覧できる。学校全体で「現代学生百人一首」に取り組み、多数の優れた作品を応募した学校に贈呈する「学校特別賞」は以下の5校だった。
・福島県立平工業高等学校(福島県)
・埼玉県立坂戸西高等学校(埼玉県)
・千葉商科大学付属高等学校(千葉県)
・専修大学附属高等学校(東京都)
・佐世保市立愛宕中学校(長崎県)