産業技術総合研究所と就実大学の研究グループは、繊維からシートまで幅広い形状の基材に短時間で抗ウイルス薬剤のコーティングをする新技術を開発した。実証実験の結果、インフルエンザウイルスに対する不活性化効果が2か月ほど持続することを確認している。

 研究グループは産業技術総合研究所独自の紫外線照射支援による表面改質技術を使い、フィルムなどのシート状ポリマー材料、ポリエステル繊維布、綿繊維布に、洗口液などに使用されているクロルヘキシジンを抗ウイルス薬剤として塗工し、紫外線を1分間照射した。

 その結果、クロルヘキシジンは抗ウイルス効果を損なうことなく、固定化されていた。就実大学でクロルヘキシジンを固定化した部分の抗ウイルス活性値を調べたところ、インフルエンザウイルスに対して99.9%以上の高い不活性化率を示すことが分かった。

 新型コロナウイルス感染症の流行で抗ウイルスコーティングの需要が高まっているが、光触媒を用いる場合に基材がガラスやセラミックでなければならないなど、制約が多いことが問題になっていた。今回の新技術は幅広い基材に対して適用でき、マスクや医療用繊維部材などに利用できる。

参考:【就実大学】本学薬学部・山田 准教授 幅広い素材への抗ウイルスコーティング技術を共同開発

大学ジャーナルオンライン編集部

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