2025年2月7日、近畿大学理工学部は、TA(Teaching Assistant)として2025年4月より学生実験の補助作業、実験の支援を実施する予定の大学院生と大学院進学予定の学部4年生約30人を対象に、事故防止の特別安全講義を開いた。
全国各地の小中学校、高校、大学において、理科・化学の実験中に気分が悪くなる、発火するなどの事故が発生している。しかし教科書や参考書の情報だけでは、実験中に起こりうる事故やその危険性を正しく理解して対策することは難しい。
近畿大学理工学部では教育改革・学生支援プロジェクト助成金を基に2023年度から「ICT(情報通信技術)-VR(仮想現実)・MR(複合現実)-活用による国際的修士育成プロジェクト」(代表:理工学部応用化学科教授 今井喜胤、同エネルギー物質学科教授 中井英隆)に取り組んでおり、実験の安全管理を監督する理工学部安全管理衛生委員会と共同して、特別安全講義を実施している。
近畿大学によると、講義では株式会社住化分析センター提供の「危険体感用VR教材」を用いて、受講者が実験室を再現したVR空間で化学実験の際に起きる危険作業や危険な化学現象を模擬体験した。
『ラボ合成実験』の教材では、溶媒に溶かした禁水性試薬を滴下する実験を行い、ロートの詰まりを解消するための不安全行動による火災や爆発を体験した。また、『グリニャール反応』の教材では、合成反応の実験において事前確認をせずに条件変更を行ったことで爆発事故が発生し、作業者がVR空間内で被液して薬傷を負う様子を体験した。
このように実験中の些細なトラブルや事前確認せずに行った条件変更など、自身の行為に起因して発生する火災・爆発事故を3D-CG映像でリアルに体験することで、危険感受性を高め、事故の未然防止や被害軽減に役立てるとしている。
また、「ICT -VR・MR- 活用による国際的修士育成プロジェクト」と理工学部で実験の安全管理を監督する理工学部安全管理衛生委員会は、学生実験の安全な実施のために、「安全な学生実験のために」と題したYouTubeのショート動画を作成。学生実験を安全に行う上での重要ポイントを視覚的に理解できるようにした。
参考:【近畿大学】実験中の事故を防ぐため、VR教材で危険な実験を疑似体験 仮想現実(VR)を駆使して化学実験に関する特別安全講義を実施