肥満患者にゆっくり食べることを生活指導することが多いが、藤田医科大学医学部の飯塚勝美教授らの実験でゆっくりしたテンポのリズムを聞かせると、咀嚼(そしゃく)回数が増え、肥満予防に効果的な可能性があることが分かった。
藤田医科大学によると、20~65歳の被験者33人にメトロノームで40bpmの遅いリズム、80 bpmの平均的なリズム、160 bpmの速いリズムを聞かせながら、直径20センチのピザを食べてもらい、食事時間、咀嚼回数、咀嚼テンポなどを測定した。
その結果、40bpmの遅いリズムに合わせて食事をすると、咀嚼テンポの低下や食事時間の延長、咀嚼回数の増加が見られた。160bpmの速いリズムでも同様の傾向が出たが、効果は40bpmの遅いリズムより小さかった。
食事時間は咀嚼回数や口にピザを運ぶ回数と関連しており、研究グループは噛む回数を増やしたり、一口を小さくしたりする指導が理にかなっているとしている。この結果を受け、藤田医科大学は東京都大田区の羽田クリニックで食事速度や咀嚼回数の測定を肥満患者の生活指導に取り入れる。
肥満の人は昔から早食いといわれ、医療機関でゆっくりした食事を指導することが多かった。しかし、ゆっくりした食事指導の根拠となる科学的エビデンスが少ないと考えられることから、研究グループが実際に検証した。