関西学院大学は、核となる研究群を全学的に育成する「インスティテュート制度」の3件目として、2025年4月「Hydrogen Energy Research Institute(HyERI)」を設立した。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、次世代エネルギーの一つとして特に注目されている水素に重点を置き、企業や自治体など多様なステークホルダーと共に、社会に新たな価値を創出するための産学官共創モデルを構築する。

 「インスティテュート制度」とは、関西学院大学における優れた特定の研究を「核となる研究群」として全学的に育成し、さらに進化させることで大学の研究ブランドを確立することを目的として制定された制度。学内外の複数の研究者からなる共同研究体を「インスティテュート」として指定し、アドバイザリーボードによる活動進捗状況の確認、評価、改善提案を行いながら、戦略的に研究を推進している。これまで「感性価値創造インスティテュート」「Sustainable Energyインスティテュート」が設立され、それぞれ多様な属性・年齢の研究者が集まり共同研究を展開する拠点となっている。

 3件目のインスティテュートとして設立されたHyERIは、神戸市と連携し、神戸空港島での研究拠点の構築を視野に入れ、既存キャンパスでは成し得なかった大規模な研究環境をフィールドに、液化水素を活用した研究領域で世界トップレベルの研究成果を生み出す。

 そのため企業や研究機関などから専門人材を積極的に招へいし、水素を扱うことができる人材の育成やリスキリングも含めた博士人材育成に努める。また、地域のニーズに沿った人材育成プログラムにも積極的に協力し、地域の課題解決に貢献する。さらに、神戸三田キャンパスで培った先端的な研究をさらに発展させ、各キャンパス間の相互関係の進化にも繋がるような活動を展開する。

 森康俊学長は「関西学院大学は自然科学と人文社会科学の高い研究力の両立と、分野の横断によって学際性と革新性を増幅できる総合私立大学です。その強みを活かし、多様な研究力を結集してHyERIを育成し、ひょうご神戸の地から、世界のSDGs達成とカーボンニュートラル実現を目指します」とコメント。また、HyERIの所長を務める工学部の大屋正義准教授は「私自身が実用化を目指す液体水素の冷熱を活用した超電導発電機の開発拠点としてだけでなく、水素サプライチェーンの構築を目指す企業や大学の共同研究・教育施設を構築し、水素を活用した脱炭素エネルギー社会の実現に貢献します」と話した。

参考:【関西学院大学】先端技術研究拠点の形成へ。Hydrogen Energy Research Institute(HyERI)を設立

関西学院大学

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