中部大学の研究チームは、食用サボテンであるウチワサボテンの摂取により整腸作用が得られ、全身性免疫応答が強化されることを明らかにした。

 驚異的な生命力、環境耐性、栽培特性をもつサボテンは、新しい食料作物として世界で注目を集めている。ミネラルや食物繊維を豊富に含むなど栄養価も高く、これまでに健康効果としては抗酸化作用や糖質・脂質代謝の改善効果が報告されているが、腸内環境や免疫機能への影響についてはまだ明らかとなっていなかった。

 本研究では、南米で野菜として食べられているウチワサボテンの小型種であるノパレア・コケニリフェラを添加した飼料をマウスに28日間摂取させ、腸内環境や免疫機能にどのような影響があるかを調べた。

 その結果、サボテンを摂取したマウスでは、糞便量が増加し、さらに腸のバリア機能を担う糖タンパク質であるムチンが糞便中に増加していた。特に、ノパレア・コケニリフェラのパウダーを10%含む飼料を摂取したマウスは、5%含む飼料を摂取したマウスに比べて、7日後からムチン含量が顕著に増加したという。盲腸内容物のpH(水素イオン濃度指数)も低下したことから、ウチワサボテンの摂取により腸内環境が改善され、整腸作用が認められたとしている。

 また、サボテンを摂取したマウスの血清中の免疫グロブリン(血液中で長期的な免疫を担うIgGと粘膜表面での感染防御に関与するIgA)が有意に経時的な増加を認め、全身の免疫応答が強化される作用も確認した。

 本研究は、ウチワサボテン添加食が腸のバリア機能や免疫系に及ぼす経時的変化を初めて明らかとした報告である。このように、食品としてのサボテンの健康機能性を科学的に証明していくことで、日本でもサボテンの利活用を推進する重要な一歩となることが期待される。

論文情報:【Drug Discoveries & Therapeutics】Dietary supplementation with Nopalea cochenillifera enhances fecal mucin production and modulates serum immunoglobulin levels in a dose- and time-dependent manner in BALB/c mice

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