名古屋大学生物機能開発利用研究センターの野田口 理孝准教授をはじめ、帝京大学、理化学研究所、中部大学、名古屋大学発ベンチャーグランドグリーン株式会社の研究グループは、タバコ属植物は異なる科の植物に対して接木を成立させられることを発見した。

 接木は、2株の植物を一つに接ぐことで互いの有用な性質を両方備えた植物を生産する技法で、古くから行われている。農業においては病気や塩害土壌等ストレスに強い株を台木とし、食味や収量の良い株を接ぎ穂として果物や野菜の生産が盛んに行われている。しかし接木が成立するメカニズムには不明な点が多く、分子レベルの解析はほとんどなされていなかった。そのため接木は近縁種のみ可能と考えられてきた。

 そこで今回、研究グループはナス科タバコ属のベンサミアナタバコをはじめとする7種のタバコ属植物を穂木として、タバコ属と同じ双子葉草本植物だけではなく、単子葉植物や木本植物の接木(異科接木)を試験した。その結果、実に38種類の科の73種類の種と接木が成功した。

 次にベンサミアナタバコで異科接木が成立する分子メカニズムを調べた結果、細胞の外に分泌されるβ-1,4-グルカナーゼが接木の接合面で細胞壁の再構築に関わっていることを見出した。またβ-1,4-グルカナーゼを過剰に発現させると、接木の接着性が促進されることを示した。さらにタバコ属植物を中間台木に用いることで、有用な根系の植物を台木としてトマトなど農作物を生産する可能性を提示した。

 今回、タバコ属植物を中間台木として用いることで、広範囲の植物間に接木の対象を拡張できる可能性が高まった。また接木の分子メカニズムの理解が進んだことにより、より効率的な接木技術の開発が期待できる。研究グループは、耕作不適合な土壌でも低農薬で収穫できる作物の作成などを通じて、今後予測される食料問題の解決や食の安全性、農業の持続可能性が高まることを期待している。

論文情報:【Science】Cell–cell adhesion in plant grafting is facilitated by β-1,4-glucanases

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