畿央大学大学院博士後期課程の成田雅氏と岡田洋平教授らの研究チームは、パーキンソン病患者を対象に、日中のベッド動作の自立と関連する要因について包括的に検証した結果、上肢の筋強剛と体軸症状が全動作に共通する非自立の要因であることを初めて明らかにした。

 パーキンソン病(PD)患者は、症状の進行とともにベッド動作(寝返り・起き上がり・寝転がり)の自立度が低下するが、その関連要因については十分に解明されていなかった。研究チームは、日中におけるベッド上動作の自立度に着目し、パーキンソン病患者109名(ホーン・ヤール重症度分類5段階中の2~4のPD患者)を対象とした横断的観察研究を実施した。「寝返り」「起き上がり」「寝転がり」の3つの動作について、運動症状(筋強剛、寡動、振戦、体軸症状)、頸部・体幹・股関節筋力、認知機能との関連を包括的に評価した。

 その結果、上肢の筋強剛と体軸症状は、寝返り・起き上がり・寝転がりの全動作に共通して非自立と強く関連する主要因子であることが明らかになった。さらに各動作には特異的な要因も存在していた。寝返りの非自立には体幹伸展筋力の低下が関与し、進行期の起き上がり・寝転がりには認知機能と注意機能の低下が関連することが示された。

 これらの結果から、上肢の筋強剛や体軸症状に対する介入に加え、個別化した認知機能への支援を含む早期介入が、ベッド動作の自立度維持に寄与する可能性が示唆された。今後は、これらの関連要因の理解に基づく介入戦略が、パーキンソン病患者のベッド動作の自立度低下の予防、改善、介護負担の軽減に寄与することが期待されるとしている。

論文情報:【Journal of Movement Disorders】Factors associated with the decline of daytime bed-mobility independence in Parkinson’s disease: A cross-sectional study

大学ジャーナルオンライン編集部

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