大阪公立大学大学院理学研究科の近藤湧生特任助教、安房田智司教授らの研究グループは、屋外水槽で飼育するメダカの繁殖行動が深夜から未明にかけて活発になることを明らかにした。

 研究グループは、2023年5月から8月にかけて、オスとメスのメダカのペアを屋外の実験水槽に1組ずつ入れ、赤外線カメラで24時間連続観察し、全31組の行動を解析した。その結果、メダカの繁殖行動は午前1時ごろから始まり、午前2時から午前4時にピークを迎えた。オスがメスに対して示す求愛行動も午前2時から午前3時に特に多く見られた。

 これまでメダカの繁殖行動は、明るさや温度を管理しやすい室内の実験水槽で主に観察されており、観察も日中が中心であったため、自然界にいるメダカの夜間の活動や繁殖行動の開始時刻については十分に分かっていなかった。従来は日の出前後1時間に産卵が始まると考えられていたが、今回の研究で、野外では深夜から産卵が始まることが判明した。

 この発見は、ホルモンや遺伝子の研究、モデル生物としての実験条件の見直しに重要な示唆を与えるものである。研究グループは、今後は野外での捕食リスクや天候、月齢、水温の変動など、深夜から未明にかけて繁殖行動が活発になる進化的・生態的要因についても総合的な検討が必要としている。

論文情報:【Scientific Reports】Courtship and spawning behaviour of medaka in a semi-outdoor environment initiating at midnight

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