大阪公立大学大学院理学研究科の笠松真吾助教と居原秀教授らの研究グループは、強力な抗酸化活性やエネルギー代謝改善作用があることから近年注目されている超硫黄分子が、ブロッコリースプラウト(ブロッコリーの新芽)に豊富に存在していることを明らかにした。

 超硫黄分子は、硫黄原子が直鎖状に複数連結した構造を有する分子の総称で、感染防御・免疫応答などさまざまな生命現象に重要な機能を果たしていると考えられている。がんや神経変性疾患、脳卒中、炎症などに対する新たな予防・治療薬としての可能性も期待されており、近年では新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス感染症に対して感染防御能を有することも明らかにされている。

 本研究グループはこれまでに、超硫黄分子がアブラナ科やヒガンバナ科の野菜に豊富に含まれていることを見出してきた。そして今回、アブラナ科のブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトの発芽から成長する過程において、超硫黄分子量の変化を詳細に分析した。

 その結果、ブロッコリースプラウトには成熟ブロッコリーの約7倍に及ぶ超硫黄分子が大量に含まれており、ブロッコリーの種から根が生え、発芽・成長するにつれて超硫黄分子量が劇的に増加することを発見した。超硫黄分子量は、発芽5日目で種子の約20倍にも増加した。さらに、ブロッコリースプラウト中の超硫黄分子には、分子構造が決定されていない全く未知の超硫黄分子候補も多数検出されたとしている。

 ブロッコリースプラウトは、解毒力や抗酸化力を高める作用で知られるスルフォラファンを成熟ブロッコリーの数十倍も含むなど、機能性食品として注目されているが、今回の結果から、ブロッコリースプラウトの健康促進効果に超硫黄分子も寄与している可能性が示唆された。

 今後は、ブロッコリースプラウトに含まれる未知の超硫黄分子の同定および、その薬理活性を解析することによって、超硫黄を基軸とした新たな機能性食品や医薬品の開発につながることが期待される。

論文情報:【Redox Biology】Untargeted polysulfide omics analysis of alternations in polysulfide production during the germination of broccoli sprouts

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大阪公立大学は、2022年4月より、大阪府立大学と大阪市立大学が統合し開学しました。ともに約140年の歴史ある大学で、12学部を擁す総合大学で、学生数は約1万6千人。全国最大規模の公立総合大学です。大都市大阪に人や社会、都市、世界を結びつける新たな"知の拠点"[…]

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