経済産業省が推進するスタートアップ企業育成支援プログラムの「J-Startup(スタートアップ)」第5次選定企業31社について、民間信用調査機関の帝国データバンクが分析した。

 「J-Startup」は選定にあたって多くの外部審査委員によって厳正に審査され、選定企業は官民のサポーターから各種支援を受けられる。2018年の第1次選定以来累計272社が選定されており、2025年3月には第5次として31社が選定された。

 第5次では、これまで累計7社だった宇宙系企業が一度に8社が選定され、最多となった点が注目されている。第1次から第4次まではバイオ・ヘルスケア系がトップを占めてきたが、政府が2023年にまとめた宇宙基本計画などが支援を後押ししたとみられる。

 宇宙系スタートアップでJ-Startupに過去に選定された企業の中には、アジア初となる民間による月面着陸を目指すispace(アイスペース)、衛星画像データのソリューション提供を目指すSynspective(シンスペクティブ)など上場にこぎつけたところが4社ある。宇宙系以外の分野では、バイオ・ヘルスケア系が6社、素材開発を含む製造系が4社、エネルギー開発など環境系が3社選定された。

 なお、最も資金調達額が大きかったのは、米半導体大手・エヌビディアから出資を受けたSakana AI(東京都港区)の約300億円。次いで、超小型衛星の開発を手がけるアークエッジ・スペース(東京都江東区、約107億円)やワイヤレス給電システムを開発しているエイターリンク(東京都千代田区、約68.5億円)、ダイヤモンド半導体の製造販売を行う大熊ダイヤモンドデバイス(札幌市北区、約67億円)など。

 創業者の出身大学は東京大学が40社と最多で、慶應義塾大学、京都大学、早稲田大学などが続く。海外大学出身も13社あり、国公立と私立の出身者数はほぼ同数。創業時の社長の平均年齢は第5次で34.0歳で、全体では36.2歳。設立から選定までの平均年数は約5.7年だった。

参考:【帝国データバンク】「J-Startup」選定スタートアップ企業の分析調査

大学ジャーナルオンライン編集部

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