2025年7月19日、日本発のオンライン大学「ZEN大学」を運営する日本財団ドワンゴ学園は、人文社会領域におけるAI活用奨励制度「日本財団HUMAIプログラム」第1期メンバー決定において、年間最大250万円相当が支給される「奨励金C」の最終審査会を開催。8名が登壇してプレゼンテーションを行い、3名が採択された。
「日本財団HUMAIプログラム」は、人文社会領域に関心を持つ大学生・大学院生・ポストドクター(ポスドク)などが専門分野を越えて交流する場で、参加者は、日本財団からの支援に基づく「AI活用奨励金」およびAIを用いた「研究奨励金」の活用やコミュニティへの参加、定期的なアウトプットを通じて、AIの発展を自身の研究に積極的に取り入れ、学術活動を推進することができる。
奨励金には3種類あり、奨学金A(100名程度)は、年間最大28万円相当(AI活用奨励金として毎月最大3.5万円を支援)、奨励金B(22名程度)は年間最大100万円相当(研究補助費として定額毎月3万円+研究費を実費精算)、奨励金C(3名程度)は年間最大250万円相当(研究補助費として定額毎月3万円/+研究費を実費精算)を支給する。
メンバー募集にあたっては、分野横断的な観点から、人文社会領域に関心があれば所属は問わず、大学生・大学院生・ポストドクターのほか高校生や高等専門学校生も応募可能とした。
第1期メンバーの募集は、2025年4月~6月の応募期間に485名がエントリーし、7月19日(土)に開催された奨励金Cの最終審査会では8名が発表を行い、佐々木チワワさん(立命館大学)、露口啓太さん(筑波大学)、大南英理さん(東京科学大学) が選ばれた。他5名にも奨励金Bが支給される。
最終審査の審査員は松尾豊氏(人工知能学者 東京大学大学院工学系研究科教授・ZEN大学特別招聘教授)、東浩紀氏(哲学者・批評家 ゲンロン創業者・ZEN大学教授)、宇野毅明氏(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 教授)、川上量生氏(株式会社ドワンゴ 顧問)の4名が務めた。
<最終審査会 発表者・発表タイトル>(50音順)
・大南英理(東京科学大学) 言語・視覚情報を元に法律を理解するモデルの開発
・榊原清玄(東京大学)「象徴的暴力」か、「平等な尊重」か:AI社会におけるベーシック・インカムの分岐点
・佐々木雄司(広島大学) 物語の構造分析アクティビティを通じた創造性育成の研究
・佐々木チワワ(立命館大学) 感情労働はどこまで代替可能かーホストとホス狂がAIに委ねるケアの行方
・露口啓太(筑波大学)多様な擬似自己を演じるAIエージェントを用いた内的対話の外在化と拡張
・飛松大騎(東京大学)断絶の時代における対話の地平–相互不理解についての社会学的計算–
・錦織晃太郎(総合研究大学院大学・国立情報学研究所)生成AI時代の共創型物語制作の可能性
・百井花(京都大学)「カタチ」から読むAI時代の平安文学 ―― 共読の〈架橋〉がひらく古典解釈の未来
選ばれたメンバーは、今後「日本財団HUMAIプログラム」にて資金面でのサポートを受けながらAIの活用や自身の研究を深める。オンライン定例会に参加してAIを活用した事例の共有や研究アイデアに関する議論や読書会などを行うほか、年2回の活動報告を行い、年度末には奨励金の種類に応じた論説を作成する。メンバー同士の情報共有や意見交換は「Slack」を活用する。