大学、短大、高等専門学校卒業予定者の採用選考開始時期について、大学や短大などでつくる就職問題懇談会(座長・吉岡知哉立教大総長)は、2016年度も8月解禁とするよう文書で日本商工会議所と経団連に要請しました。経済界で6月解禁に見直す意見が出てきたことを受けた措置で、6月解禁では学業に支障をきたすことを理由に挙げています。
要請文によると、懇談会は6月が授業期間中であり、この時期に解禁となると、授業への出席が難しくなるうえ、教育実習や海外研修の日程調整が難しくなると指摘。卒業論文作成や卒業研究のスケジュール、留学中の学生の帰国日程にも大きな影響が出ると訴えました。
さらに、2年連続で選考開始時期が変わると、学生、企業の双方に混乱が生じかねないとし、2015年度に起きた問題を分析し、これを克服するための方策を検討することが先決としています。選考開始時期の決定については解決策を模索したあとで、大学と経済界が意見交換を重ねたうえで慎重に決めるべきだとし、現状通り8月解禁を維持するよう求めています。
大学卒業予定者らの採用選考開始時期は2015年度から8月解禁に後ろ倒しされましたが、申し合わせが遵守されないケースもあり、就活、採用選考期間の長期化が学生、企業側ともに問題となりました。このため、中小企業が多く加入する東京商工会議所が6月解禁の方向を提言したほか、大企業が加入する経団連も6月を軸に調整に入っています。