東京都新宿区信濃町の慶應義塾大学病院で1999年、当時の国内最小に当たる289グラムの超低出生体重で生まれた女児が成人し、20歳を迎えた。この女性は世界でも当時、3番目に当たる小さい体重だったが、現在は高校を卒業して企業に就職している。

 慶應義塾大学によると、この女性は妊娠23週で誕生したが、無事に退院し、その後すくすくと成長した。高校時代はバスケットボール部で3年間活動し、卒業後はOLとして働いている。出生体重の289グラムは成人した超低出生体重児としては国内最小になる。

 本人は「今は週に2回、パソコン教室に通い、頑張っている。私を産み、育ててくれた両親に感謝したい」、母親は「当時の看護師さんといっしょに20歳の誕生日をお祝いした。成人式で着物を着るのが今から楽しみ」と慶応義塾大学病院を通じてコメントした。

 超低出生体重児は出生体重1,000グラム未満の赤ちゃんを指す。出生体重が極端に小さいと、体のさまざまな機能が未熟なため、呼吸障害や心不全、重度の感染症を引き起こしやすく、救命が困難になる。

 1960年代には救命率が10%未満だったが、医療技術の進歩や周産期母子医療センターの整備などから2000年代に入って80%を超すようになってきた。慶應義塾大学病院では2006年、当時世界で2番目に小さい265グラムの女児、2019年2月に男児として当時世界最小268グラムの赤ちゃんを元気に退院させている。

参考:【慶應義塾大学】289グラムで出生した超低出生体重児が20歳に-成人した超低出生体重児として日本最小-(PDF)

慶應義塾大学

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