実際に現地へ移動しないバーチャル旅行体験が高齢者の認知症予防に効果を上げることを、奈良県立医科大学医学部の澤見一枝教授らの研究グループが突き止めた。バーチャル旅行サービスを提供するtoraru、福祉・介護施設運営のナッセとの共同研究で、愛知県で開かれた日本精神保健看護学会で報告された。

 調査は堺市南区の軽費老人ホーム延命荘、大阪府岸和田市のケアハウス幸福荘など8施設に入所する約190人の高齢者を対象に、2018年8月から12月にかけて月2回ずつ3か月間のバーチャル旅行体験を実施。うち、調査前後のデータを比較可能な平均年齢80歳の100人について認知機能や心理状態を調べた。

 それによると、バーチャル旅行体験をした高齢者は単語記憶テストの即時再生で平均点が19.0から23.2、漢字符号テストが34.9から37.3と上昇するなど、認知機能が体験後に良くなっていることが分かった。これに対し、非体験の高齢者は大きな変化が見られなかった。
心理テストでも体験した高齢者は満足感が3.1から3.8、達成感が2.9から3.8に上がるなど数値が改善されていた。

 研究グループはバーチャル旅行体験で外出できない状態にもかかわらず、旅行した気分になり、現地の人とコミュニケーションできることが良い刺激になったのではないかとみている。

参考:【株式会社ナッセ】奈良県立医科大学×ナッセ×toraru 体の移動しない新しい移動サービスGENCHIを使ったバーチャル旅行体験が認知症予防になることを証明

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大学ジャーナルオンライン編集部

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